地球上での「朝焼け(図1~4)と夕焼け(図5~8)の似たところ・違うところ」について話しましょう。
【朝焼け】
【夕焼け】
朝焼けを見たことがある人は、朝焼けと夕焼けの違いについて何か気がついたことがありますか。じっと思い出してみてください。私が若い頃は、徹夜の仕事が多くて、明け方家路につくと朝焼けによく出くわしました。そのときに感じた個人的な印象では、朝焼けって何だかまぶしくってね、目が痛いくらいだったのを思い出します。それに比べると、夕焼けの方は、いつまでも見ていたいような穏やかな雰囲気ですね。他の人たちに訊いても、だいたい似たような感想を言う人が多いですね。
その理由を考えてみました。そこで「朝と夕方の違い」は何だろうと思いをめぐらせると、まず「夕方」という時間帯は、昼間の太陽が地面をあたため続けた後でやってくるのに対し、「朝」は、太陽のあたためる役割がこれから始まる時間帯だということでしょう。
昼間に太陽光が地表に当たると、空気も温められます。空気が暖まると上昇しますね。「上昇気流」といいます。つまり「夕方」を迎える時分には昼間発生した上昇気流の影響で、地上の塵とか水蒸気などがそれに乗って上昇するから、色んな物質が浮かんでいるんですね。それが邪魔をして、光が弱められて、同じ赤でも夕焼けの光はあまりまぶしくないのです。
一方「朝焼け」というのは、東の空から太陽が昇ってくるときに空が赤く染まる現象ですね。朝焼けが赤くなるのも、太陽の位置が西ではなく東にあるだけで、夕焼けと同じ原理なのですが、日の出前の時間には気温が下がって上昇気流が生じにくいでしょうから、空気中の塵は地表に落ちてしまいますね。すると、地表に届く光が強く、光がまぶしく感じるでしょうね。ただし、私の経験から言えば、湿度が適度に高い朝の方が朝焼けの赤が美しいような気がします。それは、水蒸気が適当にあった方が青っぽい光が散乱して、赤っぽい光だけが目に届いてくれるからでしょう。
「夕焼け」と「朝焼け」をまったく同じだと思っていた人も多いと思いますが、実はまぶしさとか空の色合いなど、微妙な違いはいろいろあります。みなさんはどちらが綺麗だと思いますか。どちらにもそれぞれ魅力はありますね。
忙しい毎日の中で、ふと一息ついた時に空を見上げて、そこに綺麗な夕焼けが広がっている時のホッとする瞬間が、私は昔から大好きでした。少年時代に夜釣りに出かけて、音戸の瀬戸というところの沖合にボートを浮かべていて、西の空に発見する夕焼けはまた格別でした。
平清盛の伝説(図9)なども思い浮かべながら釣りをそっちのけにして眺めていた思い出もあります。みなさんも、太陽と地球の大気が作り出す神秘を、たまには立ち止まって眺めてみてくださいね。
最後に、朝焼けを歌った金子みすゞさんの詩を載せておきましょう。
大漁
朝焼け小焼だ、
大漁だ
大羽鰮(おおばいわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど、
海のなかでは
何万の、
鰮(いわし)のとむらい
するだろう。
<出典>
(図5) Wikimedia commons
(図9) 呉市ホームページより(https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/67/m000015.html)