この宇宙の片隅に
-館長による宇宙コラム-

この宇宙の片隅に 館長による宇宙コラム
稲作日記
過去の配信動画はこちら
  • YouTube動画 はまぎん こども宇宙科学館から配信中!
  • 【公式】はまぎん こども宇宙科学館

イベントカレンダー

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
  • 休館日
  • 休館日
くわしく検索

次回休館日

  • 4月
  • 7日~11日、15日
  • 5月
  • 7日、20日
  • 当日参加できるイベント・教室
  • 申込受付中の イベント
団体でのご利用
フロアガイド
洋光台サイエンスクラブ 新規登録・ログインはこちら

科学館オリジナル商品を販売中! オンラインショップはこちら

科学なんでも質問箱

この宇宙の片隅に―館長による宇宙コラム―

宇宙に関わる仕事ってどんなことをしているの?

宇宙開発の大先輩 的川館長が宇宙についてのあれこれを楽しく解説します。
随時更新されるので、掲載をお楽しみに!

月間アーカイブ

この宇宙の片隅に(19)

人工クレーター新たに10個前後──「はやぶさ2」着陸を本格的に準備

 「はやぶさ2」チームが、4月にインパクター(衝突装置)を爆破して、銅製の弾丸を小惑星リュウグウに衝突させ、表面に人工クレーターを世界で初めて作った話はしましたね。衝突前の画像と衝突後の画像を念入りに比較した結果、リュウグウには、比較的小さい直径1mくらいの人工クレーターが10個前後できていることを発見したそうです(図1)。上空で爆発させたインパクター(衝突装置)の破片などが表面に激突してできたと思われます。今後はこれらのクレーターも重要な観測対象となるので、ますます豊かな成果が期待できそうですね。

図1 新たに発見された小クレーターの例 図1 新たに発見された小クレーターの例

 インパクターから放たれた金属弾でつくった大きなクレーターは直径10mほどで、深さは2~3mに達しています。チームは、これから5~6月にかけて、何回かリュウグウ表面の近くまで降下して接近観測し、大小のクレーターをできるだけ詳細に調べる予定です。
 クレーターのできた辺りには、岩石がいっぱい存在しています。下手に近づくと、広げた太陽電池パネルなどに傷がつき、帰還のフライトに影響が出ると困るし、でもクレーターからサンプルを採取することができれば、科学的価値は一層素晴らしいものになるから、降りてサンプルもとりたいし、悩ましいところですね。チームは、着陸・サンプル採取に挑むかどうかを、今後の詳細な調査にとって決定するつもりです。
 今のところ、着陸の候補地点として、11ヵ所が挙げられています(図2)。いずれも衝突の際に飛び散った岩石などが落ちている地域で、安全に着陸できる可能性のある場所が選ばれています。詳細な地形を観測し、技術的な検討もして、6月上旬ころまでに着陸可能かどうかを判断し、可能な場合は6月下旬から7月上旬の間に降りるつもりです。図3には、インパクターでできた大きなクレーターを図示しておきますので、図2と比べて見てください。

図2 今後着陸を検討する11ヵ所の候補地域 図2 今後着陸を検討する11ヵ所の候補地域

図3 人工クレーターの直径は10 m以上とみられる 図3 人工クレーターの直径は10 m以上とみられる

 サンプル採取が技術的に可能で、しかもサンプルの科学的価値が高いもの──こういう欲張った条件をもつ場所が、1ヵ所でいいから見つかるといいですね。
 まずは5月16日に、ターゲットマーカーを落として、「はやぶさ2」をリュウグウの上空10 mあたりまで降下させ、地形を詳しく観測します。場合によっては、こうしたオペレーションを何度かやるのか、現在慎重に戦術を練っているところです。


[図クレジット]図1~3 JAXA