稲作日記

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稲作日記 2021.9.11

 今回は、稲作とSDGsについてお話します。
SDGsが様々な場面で言われるようになりました。そこには、子どもたちや次の世代に明るい未来を引き継ぎたいという思いが込められています。はまぎん こども宇宙科学館では、今年度から館前庭で稲作を始めました。その意図をSDGsを視点に述べさせていただきます。


 子どもたちの体験的な学習材と展示物の一つとして水田稲作を始めるにあたり、SDGsの17の目標の中で次の5つと関連付けています。



2. 飢餓をゼロに (持続的食糧生産  稲作農業)


12. つくる責任つかう責任 (持続可能な消費と生産のパターンを確保する)


15. 陸の豊かさも守ろう (陸上生態系の持続可能な利用 環境保全)


4. 質の高い教育をみんなに (生涯学習、食の安全、食料の確保、稲作の重要性)


11. 住み続けられるまちづくりを (身近な農業  農業への興味関心)



2、12、15に関わっては、畑作と水田稲作を以下のように捉え、水田の優位性を伝えていきたいと思っています。


◎畑作の特長と問題点

 

・欧米、中央アジアなどは年間を通して平均的な降雨があり、小麦、大豆、トウモロコシなどを栽培するには

 適した気候で、大規模な農業が可能で生産量も多い。


・畑作作物の多くは連作障害が見られ、輪作等の工夫が必要な場合が多い。場所によっては、農業可能な30㎝の表土を

 利用し尽くして荒野になり、土壌侵食・流出の原因になっている例もある。灌漑による環境荒廃、地下水や川水の減少に

 よる塩害等の課題も少なくない。


◎水田稲作の特長と優位性

 

・稲作は日本を含むモンスーン気候(稲作中に降水量が集中して多い)の地域を昔から利用している。

 種一粒からの生産力が大きく、連作障害がない。世界の米の生産量は小麦等を遥かに凌いでおり、食料の大きな地位を

 占めている。収穫した米を食べる際も、比較的容易に調理できる利点もある。

・水田稲作ではその栽培の特性上、病原菌や塩分を用水とともに洗い流すとされ、連作障害がなく、塩害、地下水の窒素濃度を抑制していると考えられる。河川の水に溶けた森林の養分を導入するため、畑作ほどは加肥の必要はなく、土地の包容力が下がり難いため、4千年以上同じ水田で稲作は行われ、収穫は落ちない。これらのことで、水田稲作は持続的農業としても優位性をもっている。これらは経験知によるものが多く、今後の更なる研究が待たれる。

・水田や用水施設は人間が長い間に作り上げてきた人工物であり、雨水だけでなく生活用水も河川に流れ込み、それを稲作が利用するように循環型になっており、水質浄化のサイクルの一翼を担い、水資源の涵養に資している。また、水田は一時的に雨水を貯えるために洪水防止にも役立つなど、環境保全にも大いに役立っている。

・近年の水田の減少(344ha⇒241ha)は、食糧不足につながるのではないかとも指摘されている。




 4と11については、水田稲作を以下のように役立てたいと考えています。


〇稲作および農業、農産物への興味を高める

 

普段食べている米がどのように栽培されているかを身近に知ることで、自分事として考えるきっかけとなり、栽培体験することでさらに実感を深めることになると考える。

今後、米を軸に食への関心を深められるように工夫したい。