この宇宙の片隅に―館長による宇宙コラム―

2019年の記事

この宇宙の片隅に(28)

2019年9月10日(火)

「アポロ」実況放送の途中ですが、臨時ニュースです。 【リュウグウの岩に夭折した若手研究者の名前】  歴史的な快挙をいくつもなしとげている「はやぶさ2」には、大勢の人々の強力なチームワークが必要でした。その人々の中には、若くして他界した人たちもいます。  一人は、飯島祐一さん(図1)。彼はかつて大きな成果をあげた月探査機「かぐや」で活躍し、「はやぶさ2」プロジェクトの立上げと開発にも大いに尽力…

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この宇宙の片隅に(27)

2019年8月18日(日)

 2024年に国際宇宙ステーション(ISS)が一応の「定年」を迎えるのを前にして、その後の世界の国々の国際協力の柱を何にするか、十年以上も前からいろいろと議論されてきました。その協力のテーマが、アポロ計画以来の「有人月飛行」ということに決定されたのは、昨年東京で開かれた国際会議でのことでした。  これから取り組む月への有人飛行計画や、その先に控える火星への有人飛行には、日本も積極的に参加する意向…

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この宇宙の片隅に(26)

2019年7月27日(土)

【「はやぶさ2」の第二回タッチダウンの画像公開】  「はやぶさ2」チームは、第2回タッチダウンの快挙(図1)の後、休む間もなく次の作業に移っています。このたび、歴史的な人工クレーター付近へのタッチダウン(7月11日)が公開されました。まず、タッチダウンの様子を鮮明にとらえた動画は、次のページで楽しむことができます。着地の瞬間にたくさんの破片やチリが飛び散っています。収納カプセルには、貴重なサンプ…

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この宇宙の片隅に(25)

2019年7月12日(金)

「はやぶさ2」第2回の着地に成功──世界初、地下のサンプルを採取  「はやぶさ2」は、7月11日午前10時6分過ぎ(リュウグウ時間)、小惑星リュウグウへの2回目のタッチダウンに成功、4月5日の人工クレーター作製時に飛び散った、小惑星地下の風化していない岩石のサンプル採取に成功した模様です(図1)。ふたたび世界初の快挙です。今もチームの「はやぶさ2」との交信は忙しくつづけられていますが、大きく見れ…

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この宇宙の片隅に(24)

2019年7月11日(木)

【「はやぶさ2」の第2回タッチダウンの時間を発表】 「はやぶさ2」チームは、探査機「はやぶさ2」が予定通り7月11日に小惑星リュウグウへの2回目の着地・サンプル採取に挑む(想像図:図1)と発表しました。降下は、10日午前11時ごろから開始します。今年4月5日に作った人工クレーター近くに着陸することを計画しており、クレーター形成時の噴出物を採取できれば世界初の快挙です。着陸は11日午前10時5…

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この宇宙の片隅に(23)

2019年6月27日(木)

【「はやぶさ2」、7月11日に2回目のリュウグウ着陸へ】  2回目の着陸について検討していた「はやぶさ2」チームは、さる6月25日、探査機「はやぶさ2」が7月11日午前11時ごろに小惑星リュウグウへの2回目の着陸に挑むと発表しました。世界で初めて小惑星表面に作った人工クレーターの近くに着陸し、クレーター形成の際に小惑星内部から掘り出された地下の物質を採取する計画です。  チームの様子から、私は…

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この宇宙の片隅に(22)──クライマックスを迎える「はやぶさ2」

2019年6月17日(月)

 月計画をひとまずおいて、クライマックスを迎える「はやぶさ2」について語りましょう。 【2つ目のターゲットマーカーを投下──誤差は3m!】  さる5月30日、「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウへ2度目の着陸をするための目印として、リュウグウの上空10mから新たに「ターゲットマーカー」を投下し、狙った場所からわずか3mのところに見事に落ちたことを確認しました(図1)。 [capti…

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この宇宙の片隅に(21)

2019年6月5日(水)

【国際宇宙ステーションの後は、みんなで月へ行く】  いま宇宙についての活動で最も大規模な国際協力のテーマといえば、ISS(国際宇宙ステーション)でしょう。アメリカ、ロシア、日本、カナダにヨーロッパの多くの国を加え、15ヵ国が力を合わせて建設したのがISSです。1998年に建設が開始され、2011年に完成し、それと同時にアメリカのスペースシャトルが引退したのでした。サッカーグラウンドくらいの大きさ…

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この宇宙の片隅に(20)

2019年5月25日(土)

【5月15~16日、高度10 mをめざした降下を中断】  4月に「はやぶさ2」は、衝突装置を分離して爆発させ、放たれた銅板が変形しながら弾丸になってリュウグウに激突しました。そして世界で初めて人工クレーターを小惑星表面に形成したことは、既報の通りです。  その人工クレーターとその周辺には、リュウグウが形成された大昔の生々しい様子を保存していると思われる内部の物質が露出しています。「はやぶさ2」…

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この宇宙の片隅に(19)

2019年5月13日(月)

人工クレーター新たに10個前後──「はやぶさ2」着陸を本格的に準備  「はやぶさ2」チームが、4月にインパクター(衝突装置)を爆破して、銅製の弾丸を小惑星リュウグウに衝突させ、表面に人工クレーターを世界で初めて作った話はしましたね。衝突前の画像と衝突後の画像を念入りに比較した結果、リュウグウには、比較的小さい直径1mくらいの人工クレーターが10個前後できていることを発見したそうです(図1)。上空…

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この宇宙の片隅に(18)

2019年4月26日(金)

「はやぶさ2」人工クレーターを確認──直径10m以上! 【世界初の小惑星の人工クレーターを確認】  「はやぶさ2」チームは、さる4月25日、小惑星リュウグウに銅の塊を衝突させた地点を上空から観測し、人工クレーターができていることを確認しました(図1左)。小惑星でのクレーター形成に成功したのは世界初。  「はやぶさ2」が上空約1.7kmまで近づき撮影した画像と、先月イン…

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この宇宙の片隅に(17)

2019年4月23日(火)

ブラックホールが「見える」ようになった!  光すらのみ込んでしまう巨大ブラックホールを、日本・アメリカ・ヨーロッパの科学者たちの国際チームが、撮影しました。電波による観測なので、ブラックホールが人間の目で直接見えているわけではありませんが、コンピューターによる画像処理によって、「電波が見える生き物ならこのように見える」という姿が、史上初めてお目見えしました。  図1の明るいドーナッツ状の光に囲…

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この宇宙の片隅に(16)

2019年4月11日(木)

【リュウグウに人工クレーター】──「はやぶさ2」の衝突実験成功  さる4月5日、「はやぶさ2」(図1:新イラスト)は、小惑星リュウグウの内部を調べるため、人工のクレーターをつくる世界初のミッションに挑み、成功しました。  この日午前11時前、高度500mで金属の塊を発射する「インパクタ」と呼ばれる装置を切り離しました(図2左)。その40分後、インパクタは爆発し、小惑星の…

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この宇宙の片隅に(15)

2019年4月1日(月)

 「はやぶさ2」が、来る4月5日、二度目のクライマックスのオペレーションに挑みます。小惑星リュウグウに衝突装置を投下して人工クレーターを作る実験をするのです。その日を楽しみにしながら、今回はそのオペレーションをあらためてまとめておきましょう。 【クレーターを作る場所】  「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに人工クレーターを作る領域は、2月22日に行われた第1回タッチダウンの着陸地点から東に経度で…

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この宇宙の片隅に(14)

2019年3月27日(水)

 「はやぶさ2」に関連して、嬉しいニュースがいくつか舞い込んできました。 【小惑星「リュウグウ」に水の存在を確認】  「はやぶさ2」が探査を続けている小惑星リュウグウについて、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と東京大学、名古屋大学、会津大学などで作る研究チームは、これまでの赤外線観測の結果、岩石に取り込まれた形で水が存在することを確認したと発表しました。岩石の中に水の成…

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この宇宙の片隅に(13)

2019年3月18日(月)

【「はやぶさ2」、ついにリュウグウのサンプルをゲット!】  さる2月22日、「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウからのサンプル採取に挑み、見事なオペレーションで完璧な着陸を成し遂げました。そして初代「はやぶさ」に次ぐ、世界で2番目の小惑星着陸・離陸を達成した探査機となりました。  2月22日は、午前7時29分10秒(日本時間)、小惑星リュウグウの表面に「はやぶさ2」のサンプラーホーンの先端が触れ…

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この宇宙の片隅に(12)

2019年3月12日(火)

【米国の有人飛行に新時代──「クルードラゴン」宇宙船がISSから帰還】  日本が「はやぶさ2」のサンプル採取に沸いているころ、海外でも大きなニュースが舞い込んでいます。その代表格は、米国のベンチャー企業、スペースX社が開発した新しい有人宇宙船「クルードラゴン」(図1)が、3月2日にフロリダを飛び立ち、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした後、3月8日にISSから分離し、地球に帰還したこと…

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この宇宙の片隅に(11)

2019年2月24日(日)

【「はやぶさ2」快挙達成】──サンプルは採取された 1 降下開始から自律制御開始まで  宇宙航空研究開発機構(JAXA)はさる2月21日、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの着陸に向け、同日午後1時15分、高度20kmからの降下を始めたと発表しました。何らかの行き違いがあって、「はやぶさ2」が本来と異なる位置情報を送ってきたため、計画より約5時間遅れでの降下開始となりました。しかし、原因…

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この宇宙の片隅に(10)

2019年2月22日(金)

【さよなら、「オポチュニティ」】   火星にかつて大量の水があったことを発見したりして大活躍した米国の火星ローバー「オポチュニティ」が、約15年にわたる運用期間を正式に終えました。昨年6月にオポチュニティを襲った大規模な砂嵐の影響で太陽電池パネルが破損したのでしょうか、そのときすでに通信が断絶していました。NASA(米国航空宇宙局)では、以来8ヵ月間にわたって1000回以上も「連絡をくれ」という…

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「はやぶさ2」 のサンプル採取(3)まとめ

2019年2月12日(火)

 「はやぶさ2」は、いよいよ2月22日に第一回のサンプル採取に挑むことになり、チームは勇躍そのラストスパートに余念がありません。そこで、今回は、正念場を迎えたサンプル採取のおさらいをしておきたいと思います。図・写真などがこれまでとダブるものもありますが我慢してください。 【表面は岩石だらけで着地を延期】  「はやぶさ2」の下面にある筒状のサンプラーホーン(図1)は、長さが1mです。それをリュウ…

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この宇宙の片隅に(8)

2019年2月6日(水)

【「はやぶさ2」のサンプル採取方法(2)─インパクターで新鮮なサンプルを】  弾丸を撃ち込んでサンプルを舞い上げる採取方法は、初代「はやぶさ」が採用したのを「はやぶさ2」も受け継いだのですが、それに加えて、「はやぶさ2」では、爆薬を使って銅板の弾丸を加速し、人工のクレーターをつくる衝突装置(インパクター)というユニークな採取方法が考案されて搭載されました。初代を踏襲した方法で2回ほど採取し、3回…

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この宇宙の片隅に(7)

2019年1月28日(月)

【クライマックスが近づく「はやぶさ2」】  さる1月15日、「はやぶさ2」は地球出発以来1500日を迎えました。2月後半のサンプル採取というクライマックスに向けて、いろいろなテストが始まっています。1月18日には、サンプルを採取する装置(サンプラーホーン)の振動試験を念のために行いました。これも順調で、本番に向けての自信と貴重なデータを得ました。今回は、そのサンプル採取の方法を復習しておきましょ…

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この宇宙の片隅に(6)

2019年1月23日(水)

【イプシロン4号機が内之浦の空へ】  7基の小型衛星を搭載した日本のロケット「イプシロン」の4号機が、さる1月18日午前9時50分、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から轟音を立てて飛び立ちました。ロケットは搭載したすべての衛星を予定された軌道に投入し、打ち上げは成功しました(図1)。大勢の見物客が、発射点から約3km離れた鹿児島県肝付町内のロケット見学場に集まり、ロケットが打ち上がると大きな歓声や…

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この宇宙の片隅に(5)

2019年1月13日(日)

【「はやぶさ2」のリュウグウ着地は2月後半に決定】  簡単におさらいをすると、「はやぶさ2」は、昨年6月に地球からおよそ3億km離れた小惑星リュウグウの上空に到着しました。当初の予定では、去年の10月に着陸してサンプルを採取するはずだったのですが、リュウグウの表面は予想以上に岩だらけだったことから、JAXAは着陸を延期して、場所の選定などを慎重に進めてきました。  11月から年末までの合運用を…

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この宇宙の片隅に(ニューホライズン、嫦娥4号、イプシロン4号機)

2019年1月7日(月)

 みなさん、明けましておめでとうございます。年末年始には、世界でさまざまな宇宙のニュースが飛び交いました。その一部をお伝えしておきましょう。 【「はやぶさ2」は定常運用に復帰】  しばらく「合運用」がつづいていた「はやぶさ2」ですが、昨年の大みそかに定位置(ホームポジション)であるリュウグウから20kmのところまで戻し、2019年の定常運用の体制に入りました。働きづめだった年末年始から解放され…

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