この宇宙の片隅に―館長による宇宙コラム―

2018年の記事

人類初の月周回飛行への旅立ち──アポロ8号の軌跡

2018年12月25日(火)

 1968年12月20日、人類初の月周回飛行に臨む3人の飛行士の宿舎を、その41年前に大西洋横断単独無着陸飛行をなしとげたチャールズ・リンドバーグが訪れました。フランク・ボーマン、ジム・ラヴェル、ビル・アンダーズ(図1)──アポロ8号のクルーは、少年時代の憧れのヒーロー及びその妻アンと、同じテーブルを囲んで、食事をしながら楽しい会話を存分に楽しみました。 [caption id…

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この宇宙の片隅に(3)

2018年12月19日(水)

【はやぶさ2】  合の運用を粛々とやっていますが、このたび、9月に「はやぶさ2」から分離してピョンピョン跳ねながらリュウグウの表面を観測した可愛いローバー2機(図1)に愛称がつけられました。 [caption id="attachment_27898" align="alignleft" width="300"] 図1 ミネルバⅡ-1A(左)とミネルバⅡ-1B(右)[/captio…

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この宇宙の片隅に(2)

2018年12月10日(月)

【「はやぶさ2」のいま】  前にも書いたように、地球から見て小惑星リュウグウがちょうど太陽の向こうに見える位置にやってくる「合」(2018年11月下旬から1ヵ月あまり)の時は、当然「はやぶさ2」も「合」の位置にあるので、太陽が邪魔になり、きちんと「はやぶさ2」と交信できません。  でも、「はやぶさ2」チームは欲が深く、テストを兼ねた通信試験や、地球の大気を通り抜ける時に太陽からの電波が受ける影…

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この宇宙の片隅に

2018年12月5日(水)

【オシリス・レックスが小惑星到着──米国もサンプルリターン】  今週は、地球から見ると、リュウグウと太陽の方向がほとんど一致するので、「はやぶさ2」との交信はほとんどできなくなります。ということは、しばらくは、「野次馬」はお休みということになりますね。  さて、ちょうどその時期に合わせているわけではありませんが、アメリカの小惑星サンプルリターン機「オシリス・レックス」(図1)が、12月4日、目…

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「はやぶさ2」のいま(14)

2018年11月27日(火)

【「はやぶさ2」現在の状況──中間総括】  いろんなニュースをお知らせしたので、こんがらがっている人もいるかも知れませんね。そこで今回は、現在どういう段階にあるのかを、まとめておきましょう。  そもそも「はやぶさ2」の目的は、小惑星リュウグウに着陸し、その表面からサンプルを採取して地球に帰還することです。無事帰還した後は、その分析を通じて太陽系の起源、生命の起源に迫ることになります。  まず…

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「はやぶさ2」のいま(13)

2018年11月22日(木)

【合運用に入る】  「合」(ごう)という言葉を初めて聞く人もいるでしょうね。地球から見た時、リュウグウが間もなく太陽の向こうに重なってしまうような現象です。見える方向がちょうど「合う」のですね。この時は、太陽の光が明るすぎて「はやぶさ2」の姿など地球から見ることができません。そのことはまあ見えるようになるまで待てばいいだけのことなのですが、実は困ったことに、太陽が放射している電波が邪魔になって、…

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「はやぶさ2」のいま(12)

2018年11月12日(月)

【BOX-C運用をやりました】  「はやぶさ2」が普段いるところは、小惑星リュウグウの表面から20km上空です。もっとも上とか下とか言っても、宇宙空間ではどっちか分かりませんね。リュウグウの表面から見上げて、そこに「はやぶさ2」がいれば、それが「上空」というだけですが……。ともかくそこを「ホームポジション」と呼びます。そこが「はやぶさ2」が滞在している「現住所」ですね。  リュウグウ表面からサ…

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「はやぶさ2」のいま(11)

2018年11月7日(水)

【タ―ゲットマーカーについて】  さる10月23日から実施した3回目の降下リハーサルで、「はやぶさ2」は、搭載しているターゲットマーカー1個を分離し、リュウグウに投下しました。ターゲットマーカーの大きさは直径10cmほどで、周りに貼り付けられた反射フィルムが「はやぶさ2」から発せられたフラッシュによって明るく輝きます(図1)。これを目印にして、「はやぶさ2」はリュウグウへの着陸に挑みます。 …

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「はやぶさ2」のいま(10)

2018年10月31日(水)

【小惑星の巨大岩を「おとひめ」と命名】  「はやぶさ2」が挑んでいる小惑星リュウグウの南極に巨大な岩のあるのに気づいていましたか? あちこちに巨大な岩がゴロゴロしていますが、図1の一番下(南)の端のものがイヤに目立ちますね。さる10月末まで米国テネシー州ノックスビルで開催されていた米国天文学会の惑星部会(DPS)──これは惑星研究では世界最大の学会です──では、「はやぶさ2」の特別セッションが組…

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はやぶさ2のいま(9)そして水星探査機「みお」の発進!

2018年10月24日(水)

【「はやぶさ2」がリュウグウに22mまで降下──2回目の着陸リハーサル成功】  日本の探査機「はやぶさ2」は、さる10月15日に行った第2回の着陸リハーサルで、これまでで最も低い高度22.3mまで降下することに成功しました。着陸の際、高度30m以下になると、地球から指令を送っていたのでは間に合わないので、「はやぶさ2」は鉄腕アトムのように、自分で何もかもやらなければなりません。その際の頼みの綱は…

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「はやぶさ2」のいま(8) 「マスコット」が着陸したのは「アリスの不思議の国」

2018年10月17日(水)

 ドイツ・フランス共同製作の小さなローバー「マスコット」が、10月3日~4日(日本時間)、地球から3億km彼方の小惑星リュウグウの表面で元気に跳びまわりました。「マスコット」は、日本の探査機「はやぶさ2」から分離されて、6分間ほど自由落下して着陸し、その落下の途中の姿を「はやぶさ2」の下面のカメラがとらえたものは先週紹介しましたね。小惑星表面に軽く衝突した「マスコット」は、リュウグウの重力が小さい…

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「はやぶさ2」のいま(7) ─ヨーロッパのローバー「マスコット」の分離・着陸・観測に成功

2018年10月10日(水)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)はさる10月3日(日本時間)、ドイツとフランスが製作した小型ローバー「マスコット」を探査機「はやぶさ2」から分離し、小惑星リュウグウへの着陸に成功しました。「はやぶさ2」に搭載したカメラで、降下している「マスコット」の姿も撮影されました。「マスコット」は、リュウグウ表面を17時間にわたって移動しながら観測した後、電池の寿命が尽きて、活動を停止しました。準備期間を含…

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「はやぶさ2」のいま(6)

2018年10月3日(水)

元JPL所長が「はやぶさ2に脱帽」  アメリカのカリフォルニア州パサデナ市に「ジェット推進研究所」(JPL)という研究所があります。正式にはカリフォルニア工科大学(CALTECH)の附属の研究所ですが、予算の大半がNASA(米国航空宇宙局)から出ているので、NASAの研究所だと思っている人も多いですね。JPLは世界の惑星探査の牙城ともいうべきところです。歴史上有名な、マリナー、ボイジャー、バイキ…

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「はやぶさ2」のいま(5) 小型ローバー「ミネルバⅡ-1」がリュウグウ着陸──世界初の快挙

2018年9月27日(木)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、さる9月21日、小惑星探査機「はやぶさ2」から搭載したローバー「ミネルバⅡ-1」を分離し、小惑星リュウグウに着陸させることに成功しました。送ってきた写真やデータから、リュウグウ表面を移動していることも確認し、小惑星表面で移動しながら探査をする世界で初めての人工物となりました。「はやぶさ2」は、リュウグウ表面から高度55mあたりまで降下し、自らの判断でローバー切…

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「はやぶさ2」のいま(4) 第1回目の着地候補地点を決定

2018年9月20日(木)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、すでに小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星リュウグウへのタッチダウン(着地)候補地点を選定しました。そして、9月10日から11日にかけて降下リハーサルを行ったのですが、予想外の事態が起きて、途中で中止しました。いよいよオペレーションのクライマックスが近づいている気配がしてきました。来年末のリュウグウ出発までには、時間が十分あるので、スケジュールをどうするかを…

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ぴょんぴょんローバー「ミネルバ2」のこと──「はやぶさ2」のいま(3)

2018年9月11日(火)

 さる9月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウを調べたところ、赤道での重力が地球の8万分の1程度、質量は約4.5億トンでした。来月(10月)には、着陸→サンプル収集という山場のオペレーションを迎えますが、それに先立って9月21日に2台の小型ローバー「ミネルバ2」を分離して地表に降下させます。 「はやぶさ」に搭載した「ミネルバ」(図1)の後継機として開発さ…

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「はやぶさ2」のいま(2)

2018年9月6日(木)

 数々の予想もしなかった困難に見舞われた初代「はやぶさ」──小惑星イトカワの撮影をしていた時、画像を突然送って来なくなったことがあります。調べてみると、コンピューターが画像を認識できないことが原因のようでした。急いで関係者が集まって議論し、データを念入りに調べた結果、カメラがとらえているイトカワの姿が、全く予期していないものだったため。データだけを取り出して地上で検討したところ、カメラのレンズに映…

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「はやぶさ2」のいま(1)

2018年8月29日(水)

 2010年6月13日に、日本の小さな探査機「はやぶさ」がオーストラリアの夜空に姿を現しました(図1)。大気圏突入の前にカプセルを分離していたので、それも一緒に濃い大気に入ってきた(図2)のですが、探査機の本体はやがて高熱と高圧でバラバラに壊れていき、耐熱の装備をしていたカプセルだけが地上で回収されました。中から45億数千万年前の物質からなる微粒子がたくさん見つかって、私たちの太陽系についての研究…

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