この宇宙の片隅に―館長による宇宙コラム―

この宇宙の片隅に(23)

2019年6月27日(木)

【「はやぶさ2」、7月11日に2回目のリュウグウ着陸へ】

 2回目の着陸について検討していた「はやぶさ2」チームは、さる6月25日、探査機「はやぶさ2」が7月11日午前11時ごろに小惑星リュウグウへの2回目の着陸に挑むと発表しました。世界で初めて小惑星表面に作った人工クレーターの近くに着陸し、クレーター形成の際に小惑星内部から掘り出された地下の物質を採取する計画です。

 チームの様子から、私は6月27日に挑戦と見ていたのですが、見事に外れましたね。7月に入ってしばらくすると、太陽の接近に伴ってリュウグウが非常に熱くなるのです。でも「はやぶさ2」は、その温度の予想データを詳細に検討した結果、結論を出したのでしょう。クライマックスのオペレーションですから、慎重であるに越したことはありません。帰還のために小惑星を出発するのは、今年の11月~12月ですから、時間はまだあります。

図1(既報)に示したように、その着陸目標地域(C01-C)の中心点からわずか3 mのところに、すでにターゲットマーカーが投下されており、これから地形の調査・分析をさらに重ねて、慎重に着陸・サンプル採取の作戦を練り、訓練も重ねて、7月11日に表面に舞い降ります。図2のような詳細な画像も公表されましたよ。

図1 2回目の着地目標とターゲットマーカーの位置

図2 2回目の着陸目標地域付近

 いよいよミッションは、帰還前の最大の山場を迎えます(図3)。世界が、1回目のサンプル採取、人工クレーター形成につぐ快挙に注目している。がんばれ、「はやぶさ2」チーム!

図3 地下物質のサンプル採取に挑む「はやぶさ2」(想像図)

 

【NASAの探査機が至近距離で撮った小惑星ベンヌの写真】

 NASAの小惑星探査機「オサイリス・レックス」は現在、地球近傍小惑星Bennu(ベヌー)を周回しながら表面を観測・調査し、表面物質のサンプルを採取する作戦を検討中です。このたび、NASAは、その「オサイリス・レックス」のカメラが6月13日にとらえたベヌーの画像を公開しました(図4)

図4 「オサイリス・レックス」がとらえた小惑星ベヌーの表面

 撮影した高度は、約644m。この距離からだと、探査機のカメラは、解像度50 cmの精度で小惑星の表面を撮影できるそうです。ベヌーは、全体の形状が「はやぶさ2」がターゲットにしている小惑星リュウグウと非常に似ている(図5)のですが、実は運よくリュウグウよりもはるかに豊富な水成分を含んだ岩石がいっぱいあるらしく、その分析結果が発表されるのを世界の科学者たちは非常に楽しみにしています。

図5 リュウグウとベヌーの画像と大きさくらべ

 (なお、この小惑星はこれまで日本のニュースでは「ベンヌ」と訳されていましたが、NASAの人はみんな「ベヌー」と発音しているので、これからは「ベヌー」と記します。)

[図クレジット]図1 JAXA提供の資料から作成  図2 JAXA/千葉工大など  図3 池下章裕/JAXA  図4 NASA  図5 JAXA/NASA

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