この宇宙の片隅に―館長による宇宙コラム―

この宇宙の片隅に(19)

2019年5月13日(月)

人工クレーター新たに10個前後──「はやぶさ2」着陸を本格的に準備

 「はやぶさ2」チームが、4月にインパクター(衝突装置)を爆破して、銅製の弾丸を小惑星リュウグウに衝突させ、表面に人工クレーターを世界で初めて作った話はしましたね。衝突前の画像と衝突後の画像を念入りに比較した結果、リュウグウには、比較的小さい直径1mくらいの人工クレーターが10個前後できていることを発見したそうです(図1)。上空で爆発させたインパクター(衝突装置)の破片などが表面に激突してできたと思われます。今後はこれらのクレーターも重要な観測対象となるので、ますます豊かな成果が期待できそうですね。

図1 新たに発見された小クレーターの例

 インパクターから放たれた金属弾でつくった大きなクレーターは直径10mほどで、深さは2~3mに達しています。チームは、これから5~6月にかけて、何回かリュウグウ表面の近くまで降下して接近観測し、大小のクレーターをできるだけ詳細に調べる予定です。

 クレーターのできた辺りには、岩石がいっぱい存在しています。下手に近づくと、広げた太陽電池パネルなどに傷がつき、帰還のフライトに影響が出ると困るし、でもクレーターからサンプルを採取することができれば、科学的価値は一層素晴らしいものになるから、降りてサンプルもとりたいし、悩ましいところですね。チームは、着陸・サンプル採取に挑むかどうかを、今後の詳細な調査にとって決定するつもりです。

 今のところ、着陸の候補地点として、11ヵ所が挙げられています(図2)。いずれも衝突の際に飛び散った岩石などが落ちている地域で、安全に着陸できる可能性のある場所が選ばれています。詳細な地形を観測し、技術的な検討もして、6月上旬ころまでに着陸可能かどうかを判断し、可能な場合は6月下旬から7月上旬の間に降りるつもりです。図3には、インパクターでできた大きなクレーターを図示しておきますので、図2と比べて見てください。

図2 今後着陸を検討する11ヵ所の候補地域

図3 人工クレーターの直径は10 m以上とみられる

 サンプル採取が技術的に可能で、しかもサンプルの科学的価値が高いもの──こういう欲張った条件をもつ場所が、1ヵ所でいいから見つかるといいですね。

 まずは5月16日に、ターゲットマーカーを落として、「はやぶさ2」をリュウグウの上空10 mあたりまで降下させ、地形を詳しく観測します。場合によっては、こうしたオペレーションを何度かやるのか、現在慎重に戦術を練っているところです。

 

 

 

[図クレジット]図1~3 JAXA

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